家主不在型民泊とは?運営形態と法律を詳しく解説
民泊は、空き物件を活用して収益を得られる方法として、多くの人に注目されています。特に、物件の所有者がその場に住まない家主不在型民泊は、運営の自由度が高い一方で、しっかりと法律や規制を理解しておくことが重要です。
今回は、民泊を始めるための基本情報として、民泊の3つの運営形態と、法律である『住宅宿泊事業法(民泊新法)』について詳しく解説します。
1. 民泊の3つの運営形態とは?
民泊を運営する際は、以下の3つの形態のいずれかに分類されます。それぞれ特徴が異なるため、自分に合った形を選ぶことが大切です。
① 住宅宿泊事業(民泊新法に基づく民泊)
概要:2018年に施行された「住宅宿泊事業法(民泊新法)」に基づく運営形態。主に、空き物件や自宅を短期的に宿泊施設として提供します。
民泊の形態には2種類あり、家主居住型と家主不在型に分けられます。
特徴:
年間の営業日数が180日以内に制限される。
自治体に届け出が必要。
消防法や周辺住民とのトラブル回避が求められる。
メリット:手続きが比較的簡単で、副業として始めやすい。
デメリット:営業日数の制限により、収益が限られる。
② 特区民泊(国家戦略特区)
概要:国家戦略特区内で特別に認められた民泊形態。180日ルールの制限を受けずに運営可能。
特徴:
特区に指定された地域でのみ許可される。
宿泊日数の下限(2泊3日以上)など、独自のルールがある。
メリット:年間通じて運営できるため、高収益を狙いやすい。
デメリット:特区外では運営できず、エリアが限定される。
③ 簡易宿所(旅館業法に基づく運営)
概要:旅館業法の「簡易宿所営業」の許可を取得して行う民泊。ホテルや旅館と同様に長期間営業が可能。
特徴:
年間営業日数の制限がない。
消防法や建築基準法の厳しい基準を満たす必要がある。
保健所の許可が必要。
メリット:自由な運営が可能で、長期的に高い収益を目指せる。
デメリット:初期費用が高く、手続きが煩雑。
2. 民泊新法(住宅宿泊事業法)について
上記3つの運営形態の中で、民泊事業においてもっとも一般的なのものは住宅宿泊事業です。
『住宅宿泊事業法(民泊新法)』は、2018年に施行された法律で、民泊の運営に関するルールを明確化したものです。違法民泊を排除し、健全な市場を形成することを目的としています。以下に、その主なポイントを説明します。
① 年間営業日数の制限(180日ルール)
民泊新法では、住宅地の静穏を守り、周辺住民とのトラブルを防ぐため、年間180日(6カ月)以内での営業が義務付けられています。
② 届出義務
物件所在地の自治体に届け出を行い、登録番号を取得する必要があります。
届出のために必要な手続きとしては、消防設備の設置や標識の掲示などがあげられます。
③ 宿泊者名簿の作成
安全管理やトラブル防止のため、宿泊者の氏名、住所、連絡先、滞在期間などを記録し、保管する義務があります。
④ 定期報告の義務
運営状況を自治体に定期的に報告する必要があり、報告を怠ると30万円以下の罰金が科される可能性があります。
⑤ 違法民泊の罰則
無許可で民泊を運営した場合、最大で6カ月以下の懲役や100万円以下の罰金が科される場合があります。
3. 家主不在型民泊の運営のポイント
家主不在型民泊は、物件所有者が不在の物件を貸し出して収益を得る形態であるため、以下の点に注意する必要があります。
管理業務の委託
家主不在型民泊を運営する場合、法律に基づき、住宅宿泊管理業者への業務委託が必須となります。管理業者は、宿泊者への対応や物件管理、トラブル解決など、家主がその場にいなくてもスムーズに運営できるようサポートします。委託を怠ると50万円以下の罰金が科される可能性があるため、必ず適切な管理業者を選んで運営を行いましょう。
トラブル防止
事前に宿泊者向けのハウスルールを明確に伝え、近隣住民に迷惑がかからないように配慮します。収益計画を立てる
営業日数が限られるため、1泊あたりの料金設定や稼働率の見込みをしっかり計算しておきましょう。
4. まとめ
民泊は、空き家等を活用して収益を得られる魅力的なビジネスです。しかし、複雑な法律や規制をしっかり理解し、ルールに従った運営をすることが大切です。自分の目的や運営スタイルに合った形態を選び、準備を進めていきましょう!