民泊の用途地域って何?東京23区ごとのルールと営業可能エリアを解説
民泊を始めるうえで、「用途地域」という言葉を聞いたことはありますか?
用途地域とは、都市計画法に基づきエリアごとに建物の用途が制限される制度です。民泊を運営する際もこの制限を受けるため、どの地域で営業できるのかを理解しておくことが重要です。
特に東京23区では、区ごとに異なるルールが設けられており、知らずに運営を始めると違法になる可能性もあります。本記事では、用途地域の基本から、東京23区ごとの民泊ルール、営業可能エリアの調べ方まで詳しく解説します。
1. 民泊に関係する用途地域とは?
用途地域とは?
用途地域とは、都市計画法に基づき都市の土地利用を適正に管理するために定められた13種類の区域です。用途地域は、建物の種類や用途、建ぺい率、容積率などを規制し、住環境や商業・業務のバランスを取ることを目的としています。
第一種低層住居専用地域(低層住宅が中心)
第二種低層住居専用地域(低層住宅中心だが、若干の商業も許可)
第一種中高層住居専用地域(中高層住宅中心で、商業施設も許可)
第二種中高層住居専用地域(中高層住宅中心で、さらに広い商業施設も許可)
第一種住居地域(住居を主とした地域で、少しの商業施設や業務施設が許可)
第二種住居地域(住居中心で、商業施設や業務施設が多く許可される)
準住居地域(住居と商業・業務のバランスが取れた地域)
近隣商業地域(住宅と商業が調和した地域、商業施設が中心)
商業地域(商業施設が中心、住居や業務も許可される)
準工業地域(軽工業が中心で、商業施設も許可)
工業地域(工業施設中心)
準工業地域(軽工業中心で住居や商業施設のバランスをとる)
工業専用地域(工業専用)
民泊に影響する主な用途地域
民泊に関わる用途地域としては、主に 住居地域 と 商業地域 が関係します。具体的には、民泊の運営は、住宅や宿泊施設として利用することが前提となるため、以下の用途地域に関係があります。
住居専用地域(第一種・第二種低層住居専用地域など)
住宅宿泊事業(民泊新法)であれば可能です。自治体の条例による制限があるため確認が必要です。また、旅館業法に基づく簡易宿所営業は基本的にはできません。
商業地域・準工業地域
民泊の規制が比較的緩く、営業はしやすいといえます。
民泊の種類による規制の違い
民泊には、以下の3つの主な営業形態があり、それぞれ適用されるルールが異なります。
住宅宿泊事業(民泊新法):年間180日まで営業可能。用途地域の制限はありませんが、自治体ごとの条例が適用されます。
特区民泊:特区に指定されたエリアのみで営業可能。大田区など一部の自治体で実施されています。
旅館業法に基づく簡易宿所:住居専用地域では営業不可のケースが多く、商業地域では可能です。
2. 東京23区ごとの民泊ルールと営業可能エリア
東京23区では、区ごとに異なるルールが定められています。特に注目すべきエリアの規制を見てみましょう。
大田区
大田区では特区民泊が認められており、特定のエリアでのみ実施されています。特区民泊では、連泊制限がなく、長期の宿泊が可能です。ただし、この特区民泊の対象エリアは限られており、全区で実施されているわけではないため、対象エリアを確認し、認定を受ける必要があります。
品川区
品川区の商業地域や準工業地域では、民泊営業が可能で、運営が比較的スムーズに進められます。一方、住居専用地域では、土日限定で民泊営業が認められていますが、平日営業はできないことが多いため、スケジュールを考慮することが求められます。
渋谷区
渋谷区の文教地区では、民泊営業が厳しく制限されており、特に家主不在型の民泊には制限が強化されています。家主居住型民泊については、規定に従えば営業が可能ですが、規制の詳細を事前に確認することが不可欠です。
新宿区
新宿区の住居専用地域では、金曜日から日曜日に限り民泊営業が認められています。また、共同住宅で民泊を行う場合は、住民と施設の動線を分ける必要があり、施設の設計に配慮が求められます。
文京区
文京区は文教地区が多いため、民泊営業には厳しい制限があります。住居専用地域では、金曜日から日曜日のみ営業が許可されるため、運営日の調整が必要です。また、営業開始15日前までに近隣住民への通知が求められる場合があるため、早めに準備を進めることが重要です。
その他のエリア
中央区や千代田区では、商業地域が広く、民泊営業に適したエリアが多く見受けられます。観光需要が高い場所でもあるため、営業面で有利に働くことが期待できます。
江東区や墨田区は住居地域が多く、規制が厳しいエリアも存在します。住宅宿泊事業を行う場合、各自治体の条例を事前に確認し、規制に合った運営を行うことが求められます。
3. 民泊物件を選ぶ際のチェックポイント
用途地域を調べる
物件がどの用途地域に該当するかを調べるには、各自治体が提供する都市計画図を確認します。多くの自治体では、この都市計画図を公式ウェブサイトで公開しており、地域ごとの用途地域を確認できます。さらに詳しい情報が必要な場合は、自治体の窓口で直接相談するとよいでしょう。
営業可能エリアの見極める
住居専用地域では住宅宿泊事業法に基づく民泊営業が認められていますが、商業地域や準工業地域では旅館業法に基づく営業が可能な場合が多いです。エリアごとのルールをしっかり把握しましょう。
自治体ごとの条例を確認する
自治体ごとに異なる民泊の規制がありますので、運営したいエリアのウェブサイトで最新の情報を確認しましょう。また、近隣住民への説明が求められる場合もあるので、その準備は早めにしておくと安心です。
4.まとめ
民泊を運営する際は、用途地域を確認し、各自治体の条例に従うことが必須です。特に、住居専用地域では制限が厳しく、誤って営業すると違法になってしまう可能性もあります。まずは物件の用途地域をチェックし、営業可能エリアを見極めた上で、適切な手続きを行いましょう。